機械学習の具体的手法

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deep learning General

機械学習は、AI(人工知能)を実現するための主要な技術の一つであり、コンピューターがデータから学習し、予測や意思決定を行う能力を獲得するプロセスを指します。その中でも代表的な手法として、「教師あり学習」「教師なし学習」「強化学習」の3つがあります。

教師あり学習

教師あり学習は、入力データとそれに対応する正解ラベル(ターゲット)がペアになったデータセットを使い、モデルがその関係性を学習する手法です。学習プロセスでは、モデルは予測結果と正解との差(誤差)を測り、その誤差を小さくなるようにパラメータを更新します。モデルが十分に学習すれば、未知の入力に対しても正しい出力が期待できるようになります。

教師あり学習にはさまざまなアルゴリズムがあり、用途に応じて使い分けることができます。代表的な手法をいくつか紹介します。

主な応用例

  • 画像認識: 画像を入力とし、その中に何が写っているか(犬、猫など)を判断する。
  • 音声認識: 録音された音声から文字情報を抽出する。
  • 回帰分析: 数値予測、例えば株価の予測や気温予測など。

回帰(Regression)

連続値を予測するのに使われる手法で、例えば音楽のテンポ推定波形の特徴抽出にも応用可能です。

  • 線形回帰(Linear Regression): シンプルなモデルで、データの傾向を直線的に予測。
  • リッジ回帰(Ridge Regression): 線形回帰の改良版で、過学習を抑えるための正則化を導入。
  • ランダムフォレスト回帰(Random Forest Regression): 決定木を多数組み合わせたアンサンブル学習の一種。

分類(Classification)

データを特定のカテゴリに分類する手法。例えば、音楽のジャンル分類楽曲のリズム構造解析に利用可能です。

  • ロジスティック回帰(Logistic Regression): 二値分類に特化したアルゴリズム。
  • サポートベクターマシン(SVM): 境界線を見つけて分類する強力なモデル。
  • ニューラルネットワーク(Neural Networks): 深層学習を活用した強力な分類モデル。
  • 畳み込みニューラルネットワーク(CNN): 音響特徴抽出やメルスペクトログラム解析に適用可能。

アンサンブル学習(Ensemble Learning)

複数のモデルを組み合わせることで、予測精度を向上させる方法。

  • ランダムフォレスト(Random Forest): 多数の決定木を組み合わせて予測精度を向上。
  • ブースティング(Boosting): 弱い学習器を繰り返し強化していく手法。(例:XGBoost)

教師あり学習は、信号処理や音楽技術の分野でも重要で、例えば「テンポ推定モデル」や「楽曲のスタイル分類」に活用できます。

教師なし学習

教師なし学習は、正解データ(ラベル)が与えられていない「生データ」から、機械が自律的にデータの構造やパターン、潜在的な関係性を見つけ出す手法です。教師が存在しないため、データの中に隠された規則性や類似性を発見することを目的とします。

教師なし学習は、ラベルのコストを避けつつデータの隠れた性質を明らかにするのに適しており、 探索的データ分析(EDA) や前処理段階でしばしば用いられます。

主な応用例

  • クラスタリング: 類似したデータをグループ化し、マーケティングや異常検知に活用する。
  • 次元削減: 高次元データを低次元に変換し、データの可視化や圧縮を行う。
  • 異常検知: 通常とは異なるパターン(たとえばネットワーク攻撃や不正取引)を検出する。

教師なし学習の主な手法

  • 階層なしクラスタリング
    k-means法
  • 階層ありクラスタリング
    ウォード法、最短距離法
  • 主成分分析
    PCA
    特異値分解
  • 協調クラスタリング
    レコメンデーション
    コールドスタート問題
    コンテンツベース フィルタリング
  • トピックモデル
    複数のクラスタに分類するのが特徴
    潜在的ディリクレ配分法
    LDA latent Dirichlet allocation

強化学習

強化学習は、エージェント(学習する主体)が環境と相互作用し、その体験から報酬を得ながら最適な行動を学んでいく機械学習の一手法です。エージェントは、どの行動が最も多くの報酬を得られるかを試行錯誤で学習するため、正解データが与えられない状況でも「どう行動すべきか」の方策(ポリシー)を自律的に獲得できます。

強化学習の代表的手法

  • バンディットアルゴリズム
    活用exploitationと探索exploration
    ε-greedy方策。UCB方策。
  • マルコフ決定過程モデル
    マルコフ性。マルコフ決定過程
  • 価値関数
    ■状態価値関数、■行動価値関数
    一般に価値関数といえば行動価値関数を指す。
    ■Q値、■Q学習
  • 方策勾配
    ロボット制御など、行動の選択肢が大量にある課題で利用される。
    REINFORCE:AlphaGoにも採用されている。
    Actor-Critic:価値関数と方策勾配を組み合わせたアプローチ

機械学習の評価指標

予測誤差

予測誤差は、機械学習モデルがどれだけ正確に予測できているかを示す基本的な概念です。理想的なモデルであれば予測誤差はゼロですが、現実のデータにはノイズや複雑なパターンが含まれるため、完全に誤差をなくすことは困難です。

  • 平均二乗誤差MSE(Mean Squared Error)
    予測値と真値の差を二乗し、その平均を取ったものです。
  • 二乗平均平方根誤差
    MSEの平方根を取ったものです。
  • 平均絶対値誤差MAE (Mean Absolute Error, MAE)
    MAEは、予測値と真値の差の絶対値を取り、その平均を取ったものです。

正解率・適合率・再現率・F値

  • 正解率 (Accuracy):
    最も直感的ですが、クラスの偏りがある(不均衡データ)場合はうまく機能しない場合があります。
  • 適合率 (Precision):
    陽性と予測したもののうち、実際に陽性であった割合。偽陽性を避けたい場合に重要。
  • 再現率 (Recall) 実際に陽性であるもののうち、どれだけ陽性と予測できたかの割合。偽陰性を避けたい場合に重要。
  • F値 (F1-score):
    適合率と再現率の調和平均です。両者のバランスが取れたモデルを評価する際に役立ちます。どちらか一方だけが高くても、Fスコアは高くなりません。

ROC曲線とAUC

ROC曲線(Receiver Operating Characteristic Curve)は、分類モデルの性能を評価するためのグラフで、真陽性率(TPR)と偽陽性率(FPR)の関係を示します。モデルの予測閾値を変化させながら、どれだけ正しく分類できるかを視覚化するのに役立ちます。

分類器の識別の閾値を変化させたときの真陽性率 (TPR) と偽陽性率 (FPR) の関係を示した曲線です。

AUCは、ROC曲線の下の面積を表し、分類モデルの性能を数値化する指標です。AUCの値は0から1の間で、1に近いほど優れた分類性能を持つことを意味します。一般的な評価基準は以下の通りです:

  • AUC = 0 → 完璧な分類
  • AUC ≈ 0.5 → ランダムな分類
  • AUC < 0.5 → 逆の分類(誤った予測が多い)

ROC曲線とAUCは、特に不均衡データの分類問題で有用であり、適合率や再現率と組み合わせてモデルの評価を行うことが一般的です。

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